ECW

[#151] ドリーマー、悲願のタイトル挑戦!

バックラッシュPPVから明けた最初のECWは、ニューヨークシティに位置するマディソン・クスウェア・ガーデン(以下、MSG)に戻って行なわれた。新たにECW王者となったクリスチャンが現れると、今までに以上に大きな歓声でファンに迎え入れられた。クリスチャンは、スワガーが乱入してくるだろうと見越した上で、王者としてMSGのリングに立つことが自身のキャリアで何よりも最高だと明言、スワガーの登場を待った。

ところが、現れたのはトミー・ドリーマーだった。ドリーマーは、長年の友人クリスチャンのECW王座獲得を素直に祝福する一方で、クリスチャンに間もなくWWEとの契約満了を迎えること、それまでにECW王座を獲得できなければ現役から退くことを決意していることを伝えた上で、クリスチャンが保持するタイトルへの挑戦を要求した。

クリスチャンは、契約満了まで6週を切ったという、悲壮感漂うドリーマーに"今夜、ここでタイトル戦をやろうじゃないか"と告げた。ドリーマーは笑顔を取り戻し、すぐに真顔になるとクリスチャンの厚意に感謝した。と、その直後だった。ジャック・スワガーが、首を横に振りながら現れた。

黙って見ていられずに出てきたというスワガーは、クリスチャンが卑怯な手段を使ったから勝てたのだと、猛烈に批判した。さらに、ドリーマーに対してはECW王座に挑戦することがジョークどころか、ドリーマーの存在そのものがジョークだと言い切った。そして、スワガーはジャッジメント・デイでリマッチ権を行使すると断言、それまでにスワガー以外の誰も"俺の王座"には挑戦できないと語った。すると、ECW暫定GMティファニーが現れた。

ティファニーGMは、スワガーの最初の言い分、次回PPVでのタイトルリマッチ決定を認めたものの、それまでにスワガー以外の誰もタイトルに挑戦できないという発言を否定、ECWで最も権力を持つGMの権限を行使してクリスチャンとドリーマーのタイトル戦を決定、スワガーは唖然とするしかなかった。

キッド、雪辱なるか!?

1試合目は"ハート・ダンジョン"出身のタイソン・キッドとフィンレーがシングル・マッチに挑んだ。ナタリヤを同伴させるキッドだが、前回のSuperstarsではフィンレーとホーンスワグル親子と戦ったタッグ・マッチで屈辱的な敗北を喫している。キッドにとって、今夜の試合は復讐戦を意味すると言っていいだろう。対するフィンレーは、こん棒こそ手にして入場したものの、息子のホーンスワグルはいない。

試合開始のゴングが鳴ると、両者は激しい組み合いを開始、フィンレーが強引にキッドをコーナーへ押し込んだが、潔くブレイクすると、キッドに向かって余裕の笑みをこぼしてみせた。再度組み合いが始まると、フィンレーは背後を狙うキッドの腕をとって軽くひねり倒すとカバーを狙ったが、キッドは素早く抜け出した。

攻防が再開されると、フィンレーは組み合いからヘッドロック、さらにロープの反動を使って攻めてきたキッドを強烈なタックルで弾き飛ばしてみせた。キッドは、ナタリヤに案じられながらリングへ戻ると、改めてフィンレーとの攻防に出た。キッドは組み合いではなく、グレコローマン・ナックルロックを仕掛けに出た。フィンレーは勝負に乗るかと思われたが、容赦なくキックを叩き込んでみせた。キッドはコーナーでカウンターキックを放つが、コーナー中段から放ったキックをかわされ、両脚を掴まれて引き倒されてしまった。

キッドはシングルレッグ・ボストンクラブに仕留められ、ロープへ逃れようとしたが断念、体勢を切り替えて直立姿勢へとこぎつけたところでエンズイギリを放ったが、フィンレーにかわされて転倒、ロープへ向かって逃げ出した。しかし、フィンレーは容赦なく追撃、強烈なクローズラインでキッドをフロアへ叩き落とした。

フィンレーは、キッドをリングへ押し戻してからも容赦ない攻撃を展開、豪快なヒップドロップが炸裂した時では、あまりの容赦のなさから場内がどよめいたほどだ。しかし、キッドも一方的にやられているばかりではない。フィンレーに引き起こされそうになったところを、膝めがけてキックを連発、左膝への徹底した攻めを始めた。

"折ってやる!"と叫ぶキッドの猛攻に、さすがのフィンレーも顔を歪めて苦しんだが、強引に両脚を伸ばして頭を支点に体を回転させ、キッドを吹き飛ばしてホールドを強制解除してみせた。が、左脚に受けたダメージはかなりのものらしく、ふたたびキッドに捕まってしまった。

膝と足首を仕留め、座り込むように腰を落として体重をかけていくキッド。フィンレーは苦痛の悲鳴を上げながらも、生きている右足をキッドの顔面にこすりつけて脱出に成功、左脚の自由を奪われながらもベテランならではの動きでキッドへの反撃を展開していった。

積極的にカバーを狙いながら攻めるフィンリーだが、キッドを抱え上げたものの、左脚のダメージで体勢を崩してしまい、ラウンドキックを浴びてフロアへ転落してしまった。しかし、ベースボールスライドを仕掛けてきたキッドに対して、リングエプロンをかぶせて迎撃、見事な戦術で若手を翻弄してみせた。

ところが、その直後にナタリヤがレフェリーをけん制、その背後でキッドは手に握りしめたこん棒でフィンレーの左膝を打ち抜き、丸め込んで3カウントを奪ってしまった。キッドはリングを転がり落ちながらも、駆けつけたナタリヤと一緒に勝ち誇って退場したのだった。

エクストリーム・ジャングル!

重いビートに乗ってウラディミア・コズロフが現れた。今夜のコズロフは軍服に身を包んでいる。彼は、自身をロシアの戦士だと強調すると、ECW、WWE、さらに世界に自分と渡り合える相手はいないと断言、"世界征服"を宣言して去っていった。

続いて、ECWの新インタビュアーとなったグレゴリー・ヘルムズがエヴァン・ボーンへの取材でアナウンサー・デビュー、エヴァンは今夜のタイトル戦に触れながら、自身もECW王座を射程に入れていると抱負を語った。が、途中でポール・バーチルが割り込んできた。彼は、王座を狙う資格があるのはボーンではなく、自分だと告げると、ケイティ・リーと去っていった。ヘルムズは、取材どころか自己主張大会となってしまった状況に、思わず"What's up wit dat ! ? "とつぶやいてしまった。

ドリーマー、MSGで悲願の王座挑戦

メインイベントの時が訪れた。トミー・ドリーマーがクリスチャンに挑むECW王座戦だ。先に入場してきたのはドリーマーだが、地元ニューヨークでのタイトル挑戦に加え、"スポーツの殿堂"であると同時に、いわばWWEのホームでもあるMSGでリングに立つ機会を得られたことにも感慨ひとしおだろう。続いて新ECW王者クリスチャンが入場してきた。WWEに復帰してからというもの、驚くべき人気ぶりだ。

試合開始のゴングが鳴ると、両者は相手への敬意と互いの健闘を祈るように右手でタッチすると、ガッチリと組み合って攻防をスタートさせた。ドリーマーが押し気味になりながらも、クリスチャンは素早くドリーマーをコーナーへ押し込むとクリーンにブレイクしてみせた。

再度組み合いから攻防が始まると、今度はドリーマーが背後を奪ったが、やはりクリスチャンが素早く左腕を捕らえ、さらにサイド・ヘッドロックに移行、ドリーマーをロープに送った。ドリーマーは強烈なタックルで反撃、クリスチャンの体勢を崩し、ひざまずかせてみせた。

再度組み合いで攻防が再開、今度はドリーマーがサイド・ヘッドロックで先制、クリスチャンは素早くアームドラックでドリーマーを投げるが、ドリーマーも負けじとアームドラッグで反撃、両者は巧みに左腕を奪い合う攻防を展開、そしてクリスチャンがバックキックでドリーマーにダウンを強いるとカバーに入った。

ドリーマーは、サイド・ヘッドロックで仕留めたクリスチャンをコーナーへ送り、攻撃に出たが、クリスチャンはエプロンへ退避、得意とするロープ外側からのキックでドリーマーを一蹴、早くもキル・スイッチを仕掛けるがドリーマーは回避しながらDDTへ持ち込もうとした。クリスチャンは素早くドリーマーを突き押して脱出、難を逃れた。文字通り、シーソー・マッチが展開されている。

攻防が再開されると、ドリーマーはふたたびサイド・ヘッドロックでクリスチャンを捕らえると、ロープへ送ってタックルで倒して素早くカバーに入った。カバーは返されたものの、反撃を封じ込んでバックスライドからカバー、あわや3カウントかと思われるところまでクリスチャンを追い詰めた。

クリスチャンは、カバーを返すとドリーマーを引き起こして一蹴、コーナーへ送ろうとしたが逆に送られてしまった。しかし、突っ込んできたドリーマーに対してPPV戦でも見せた後方へのリープで回避しようとしたが、ドリーマーはクリスチャンを肩口で捕獲、そのままスラムでキャンバスへ叩きつけ、そのままカバーに入った。

クリスチャンは2度のカバーを返すと、立ち上がったドリーマーめがけて痛烈なスラップを炸裂、ドリーマーは思わず声を上げてダウンしてしまった。両者の攻防が再開されると、ドリーマーは再度、相手をコーナーへ追い込んで得意の攻撃パターンに持ち込もうとしたが、再度クリスチャンにかわされて左肩からコーナーのバックルへぶつかってしまった。

クリスチャンは当然、ドリーマーの左腕を徹底して攻め始めた。ドリーマーは反撃を試みるものの、クリスチャンの巧みな試合運びに翻弄され、ついには最上段からの痛烈なミサイル・ドロップキックを浴びてしまった。しかし、ドリーマーは敗北を認めない。クリスチャンは、再度左腕を捕まえると絞り上げていった。

ドリーマーは、クリスチャンがコーナー最上段に上がったのを見ると、自らもコーナーへ上がってスーパープレックスでクリスチャンを投げ放ってみせた。しかし、捨て身の攻撃によるダメージから立ち上がれず、リング上はダブルノックダウン状態となった。ドリーマーは再度カバーに入ったが、クリスチャンはキックアウト、ドリーマーに対して猛反撃で畳みかけに出た。

しかし、ドリーマーも負けじと反撃、渾身のクローズラインを放ち、クリスチャンもろともロープから転落してしまう。両者へのカウントが始まり、クリスチャンは、あわや決着してしまうかというきわどいタイミングでカウントをカットすると、そのままコーナー最上段へと上がり、ドリーマーめがけて飛び込んでいった。が、ドリーマーはクリスチャンの腹部に一撃を命中させた。

ドリーマーは、クローズライン、さらにロープから戻ってきて攻めようとするクリスチャンを抱え落としてみせた。両者は強力な攻撃を加えながら積極的にカバーを狙うが、いずれも3カウントを奪えない。クリスチャンは、コーナーから跳んでのサンセットフリップを仕掛けるが、ドリーマーは逆に押さえ込みを敢行、クリスチャンは返しながら押さえ込もうとしたが、ドリーマーに跳ね返された。場内は歓声とため息、どよめきが交互に沸き起こり、まるでドリーマーとクリスチャンが、攻防を展開しながらファンを操っているようにも見えるほどだ。

ドリーマーは、痛烈なクローズラインでクリスチャンをきりもませながらダウンさせ、続いてコーナーへ引き込むと殴りつけながら逆さ吊りにすることに成功、ここで場内は今夜最高の沸き方を見せた。ドリーマーが息を荒げ、クルシファイポーズから胸を叩いた時、突然カメラから消えてしまった。

なんとジャック・スワガーが奇襲を仕掛けたのだ!スワガーはその一撃でドリーマーにダウンを強いると、コーナーで上体を引き起こしていたクリスチャンにも襲いかかり、クリスチャンに逆さ吊りを強いて蹴散らしてしまった。さらにドリーマーを引き起こして渾身のガットレンチ・スープレックスを炸裂、立てないドリーマーを引き起こすと逆さ吊りになっているクリスチャンに叩き込み、引き起こしてガットレンチ・パワーボムでキャンバスに叩き沈めてしまった。

怒れるゴリラのような形相で、凄まじい強襲をやってのけたスワガーは、2人をキャンバスにひれ伏させると、大ブーイングを浴びる中で、すでに王座奪還を果たしてしまったかのように、自身満々で例のニヤけた笑みを見せて勝ち誇ったのだった。

今夜のECWは、ベテラン勢が若手にやられてしまう結果が続いたが、次週ではどんな闘いが見られるのだろうか?これからのエクストリーム・ジャングルに注目だ!

[試合結果]

GAME RESULT
1試合目
◎タイソン・キッド

vs.

×フィンレー
2試合目
ECW王座選手権
トミー・ドリーマーVSクリスチャン 失格判定により王座の移動はなし

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