レッスルマニア24 第5試合リック・フレアー vs ショーン・マイケルズ(キャリアスレトニング・マッチ)
[終焉]

オーランドの場内に"セクシーボーイ"が流れ始めた途端、大きな歓声が場内に沸いた。まず、HBKことショーン・マイケルズが入場を果たした。

次に"ツァトラウスはかく語りき"が場内に流れ出すと、場内はさらに大きな歓声に包まれた。ネイチャー・ボーイことリック・フレアーが、青を基調としたガウンを身にまとって入場ステージに現れた。
昨年11月27日、フレアーは地元ノースカロライナ州シャーロットで、ビンス・マクマホンから勝ち続けることを宿命づけられた。"負けたら即刻引退"という条件を課せられながら、並み居る強豪を相手に4か月勝ち続けてきた。そして、"生ける伝説"は、業界最大の晴れ舞台で自分の相手に最もふさわしい1人としてショーン・マイケルズに勝負を申し出た。
マイケルズは、悩みながらも自身が幾多の名勝負を残してきた舞台、レッスルマニアでの対決を承諾しながらもフレアーに引退を強いることになると断言、RAWのリング上でフレアーに事実上の"安楽死宣言"を告げてしまったのだった。
試合が始まった。組み合いから投げ技、打撃、さらにナイフエッジ・チョップの応酬…両雄は、強烈な一撃を叩き込み合いながらも決して負けを認めようとはしない。
レッスルマニアでファンの注目を独り占めしてきたスーパースターと、35年以上もの間、スポーツ・エンターテインメント界の頂点に君臨してきた伝説的スターの誇りがぶつかり合う攻防に、オーランドの会場は異様な熱気を帯びていった。

フィギュア・フォーの応酬、ムーンサルト、コーナー最上段からのダイビングエルボー。マイケルズは自分が持てるすべてを出し切ってフレアーと勝負している。フレアーは、マイケルズの強烈な一撃、さらに自らの得意技フォギュア・フォーに仕留められれば、"誰よりも汚く闘う男"の異名どおりにロープに逃れ、目を突き、ロー・ブローを叩き込んでかわした。
マイケルズのスウィート・チン・ミュージックがフレアーの顎に命中した。しかし、フレアーは3カウントを拒んだ。2発目を浴びても、マイケルズに"かかってこい"と身構えている。

"I'm sorry... I love you."マイクに拾われることはなかったが、マイケルズの唇は間違いなくそう告げたように動いていた。

次の瞬間、マイケルズのチン・ミュージックがフレアーの顎を捉える鈍い音が会場に響き渡り、倒れたフレアーを押さえ込むマイケルズの姿があった。レフェリーが3カウント目を叩いた時、フレアーの肩が上がることはなかった。
マイケルズはフレアーの額にキスをして、一瞬抱きしめたかのような姿勢をとると、そのままリングを下りて退場した。



場内は文字どおりのスタンディング・オベーションだ。フレアーはリングを下りると泣きじゃくる息子、娘達との抱擁を交わすと、目に涙を浮かべながら場内を去っていった。



